TESTケース―そのうち

e0106960_1523294.jpg 「レターマン」 ぼくは今、ヘッセの”デミアン”読んでいる。初めて読んだはずなのに、すでにどこかでよんでしまっていた。そのたいていは忘れていて、ぼくにはどれも目新しく感じられている。それはそれとして、ぼくは君にこうして手紙を書いているわけだ。e0106960_15232166.jpgこの手紙にぼくの近況をしたためても仕方がない。君とは近年にも何度となく会っているのだし、君の眼で見たものがすべてぼくの近況ともなっているからだろうからね。さて、それでは手紙を書こうと思う。何かとっておきの話を、と思うけれど、そのとっておきは、君の要求にかなうものではないだろうし、ぼくの前では無味乾燥とでもいってかまわない代物。だけれど少しはどこかで役にも立つのだろうけれど、やっぱりごく貧弱なものだ。ぼくはただ知る権利というものを、いわんとしているだけのこと。いろんな未知の事々を、誰もが知る権利を持っている。それはすでに自分の中であったことであるかもしれない。そんなことを急にいっても始まらないが、たとえばぼくなどのまわりにも、ぼくの能力の限界を超えた知りえないもので満ち満ちている。それでいて指をくわえてみているのはしゃくなものだ。そういった気分を、人は向上心とでも決め付けるのかもしれないが、そんなものじゃない。ぼくが書物を読んだり、人の話に耳を傾けたからといって、それが何かとっておきの何物かを仕入れるためだけではない。ぼくがそれらによって、何か素敵だとされる利得を得るようになったとしても、それは二次的なものに過ぎない。だいいちぼくは、たぶんそんなところにはたいして関わりも執着ももちはしないだろう。こんなことをいって何も君の思考を妨げようと意図したわけではない。たぶんどこかで、少しはナルシスティックに、喝采を送っているものと思って差し支えない。ぼくはそのことをうまく説明はできないが、眼の前に開かれ展開される世界像が、ごくくっきりとその眼に映ずることを希求している。どれもこれもあまりにも漠然としてわかりずらいと思うが、それはぼくの力不足だと思って下さい。e0106960_15233818.jpge0106960_15235132.jpg



この「レターマン」は前記のフィクションと同じ年代、同じ日に書かれている。ここでチョイス下のは偶然だが、その中に宛てている友人は同人物だ。つまり写真とね。相変わらず誤字脱字すまない。
by ningenno-kuzu | 2012-10-17 15:23 | 日記 | Comments(0)

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